ごあいさつ
私は昭和五十二年に大阪で、寺院ではなく一般の家庭に生を受けました。篤実な両親のもと何不自由なく成長して参りましたが、バブル経済の絶頂と崩壊、阪神大震災の甚大な被害は少年であった私に本当のよりどころとは何か、どのように生きていくことが本当の幸せなのかということを問いかけずにはいられませんでした。私はその答えを求めて、大学で宗教と哲学を学びました。そして多くの良師に導かれ親鸞聖人の開かれた浄土真宗、すなわちお念仏のみ教えに出遇わせていただきました。
西念寺の住職として皆様にお念仏のお味わいを一言申しあげるとすれば、お念仏とは「ひとりひとりが本当に自分を大切にして生きること」であると表現したいと存じます。お念仏とは本当の自分のすがたを如来の智慧の光によって照らされると同時に、どれだけの恩恵をいただいて今生きているのかを知ることでもあるからです。仏様は私たちひとりひとりの心に寄り添っていきいきと働いて下さいます。その働きを皆様と共に味わっていくことが住職の役割であろうと思います。
科学技術の功罪がせめぎあい、経済的にも不安の多い現代において、仏様のあたたかい胸の中で、安心して人生の苦しみ悩みを語りあえる寺院にしていきたいと思います。若輩者で至らないところも多々あると存じますが、皆様の暖かいご支援をよろしくお願いいたします。
西念寺第十三世住職
岡林 俊希
略歴
１９７７年、大阪生まれ。
早稲田大学第一文学部ロシア専修卒業。
龍谷大学大学院真宗学博士課程満期退学。
